好きって言ってよ、ばか。
律は私を見つめると、掴まれた反対側の手を私の手に重ねた。

そして、微笑みながら言うのだ、


「じゃあ俺と相合傘して帰る?」


・・・。

・・・えっ・・・。

「や、それはちょっと……」

誰も見てないとはいえ、ただ単に恥ずかしいんだけど。

「じゃあ、どうやって帰んの?」

いや、そんな顔されても困りますって。
最近優妃にも同じような顔されること多いんだけど、みんな私のことからかって楽しんでない??

「………駅まで走る………」

「結構降ってるよ。ずぶ濡れのまま電車乗ることになってもいいの?」

混んでると割と地獄だよね、周りにも迷惑だし。

「そうだけど〜〜!…って、わっ!?」

いきなり手を掴み直されて引っ張られ、無理やり同じ傘の中に入れられる。

ざああああ、という雨が傘に当たる音が二人の間に響いた。


「早く行かないと人くるよ」


その言葉に、私は何も言い返せなくて。

促されるまま、歩き出すのだった。





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