好きって言ってよ、ばか。
律の手に捕まって塀を乗り越えると、新たな問題に気づく。

「……って、一緒に学校入ったら、なんであの2人が!?ってなっちゃうじゃん!」

私たちが同居していることは絶対に秘密。
なんでって聞かれても、理由なんて言えるわけない。

朝は律がどうしてもというので一緒に登校しているのだが、それでも電車を出た後はわざわざ別々に歩いているのだ。

今まで、廊下ですれ違っても目も合わせない関係を装っていたのに!

「………俺と一緒にいるのを見られるのがそんなに嫌なの?」

…もう、そんな悲しそうな顔するな、バカっ。

「い、嫌じゃないけどさ!あのね、あんたは結構高い位置にいるんだよ!?」

律は、も〜うモテる。
アホかってくらいモテる。
私が見るに、超絶美形!!ってわけでもないし、、まあカッコよくないわけではないけど、、女子とつるむわけでもない。
なのにモテるから気に入らない。

性格はいい、方だと思うけど。
お節介で、過保護だよ!?

「……?高い?位置?」

ちょっと天然だしっ。

「んもう、何でもない!とにかくじゃあ、、遅刻して、学校の中に入れずウロウロしていた私を、後から来た、同じく遅刻した律が助けてくれて、たまたま!偶然!出会ったから一緒に来たっていう設定でいこう」

「何その微妙に長い設定……」

律は苦笑いしたけれど、なんとか了解してくれた。
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