好きって言ってよ、ばか。
そろそろと体育館の中を覗き込んだ私たち。

「うわあ……バッチリ始まっちゃってる……」

中には全校生徒。
校長先生が壇上に立って話をしていた。
耳を澄ましてみる。


「………であるからして、皆さんには人の役に立つ人間になってほしい訳ですね。となると……」


「うわあ、これ長いやつだ。分かるよ私。あと10分は続くね」

「全くの同意だけど静かにしろ……。まだ一年生の時の並びっぽいな。列の後ろにつこ」

私たちは、一年生の時は違うクラスだったから、列は割と離れている。
ただ、一年生は二年生よりも前の位置に座るので、1番後ろに座ったとしても先輩方からは丸見えだろう。

「私、嫌がらせされないよね……」

「ん、なんか言った?」

「いや何も……」

律に隠れてため息をつく。
しょうがないか……。
まあ、同学年にはバレないだろう。
プラスに考えれば、校長先生の話中で良かったかもしれない。

「じゃあ、そろーっと入るぞ」

「ん」

さささーっと小走りで体育館を横切る。

先輩達の視線が突き刺さるのが分かって、怖い……。

よし、もうすぐ列につけるぞ。
という時に。


「それではみなさん、後ろのポスターを見てください」


全校生徒が後ろを振り向いた。

同学年全員と目が合った。

くっついている、私と律。


いやちょっと校長ぉぉぉぉォォ!!!!







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