好きって言ってよ、ばか。
ちらっと、遠くにいる律を見た。

1組から8組まである中で、私は3組、律は7組。

結構離れているのに、すぐ見つけられた。
律も同じように、周りの男子から揶揄されているようで、いたずらっ子っぽい顔をしながら笑っている。


……なんて、説明しているのかな……。


偶然会っただけだって、言ってるかな……。

律は、なんて説明するんだろう……。
あいつのことだから、私の嫌がるようなことは絶対に言わないとは思うけど。

実は付き合ってんだ、とか、そういう冗談でさえ言わない人だけど……。

そんなことを考えていると、ますます顔が熱くなってきた。


……やめよ、律について考えるなんて!!
時間の無駄だ!!


丁度校長先生の話が終わったようで、周りがざわめき出した。
心臓がドキッとする。
質問ぜめにされるぞ、と思った束の間。

みんながこちらを向くことはなく。


……え、切り替え速いな……。
いや待って、もしかして聞くまでもなく私と律がどうにかなるわけないって思われてる!?

ずーん、と混濁した思考のまま落ち込んでいると。


「明梨っ」



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