【短編】サクラ色の貝殻をきみにあげる
「はぁ、はぁ……何、突然」
海辺から少し離れて、車の通りのほとんどない道路で呼吸を整える。
状況が全くつかめていない夏目くんは、怪訝そうに眉をひそめて、肩で息をしている。
「……夏目くん、笑うのへたくそ」
「は…?」
「バレちゃうよ、莉奈ちゃんのこと好きなの」
私の言葉に、夏目くんの瞳が動揺したように揺れる。
はじめて彼の心を動かしたのがこの言葉だっていうのは、少し、いやかなり悔しいけれど。
「なんで、」
「見てればわかるよ」