甘おと。
「あ、ああああのですね!彼女が中学生の時に外で助けてくれた男子の話でして」

「こらちょっと何勝手に言ってるの!?」

「顔覚えてないらしいのでもしかしたら王子だったりしないかな〜と」

「七海!!」


すると王子が私の顔を覗いてきた。
なんかめっちゃ見られてるし、近い…

にしてもイケメンだなぁ…


周りの人達がうるさい。男女問わず。


助けを求めるため目を逸らして七海を見ると、顔が赤い。え、なんで。

目で訴えると親指でグッてやられた。
何がだ。助けろよ。


七海を睨んでいると急に、耳元で「あー!」という大声。
驚いて耳を塞ぐ。


「あ、ごめん!」


王子の声だ。


「いやさ、もしかして君、あの時の?」

「あの時って、さっきの……?」

「そうそう!多分、君助けたの俺だ!」

「嘘!?ほら私合ってたよ!!やっぱ王子だったんじゃん!!」


肩を掴まれる。揺らされる。気持ち悪い……


「ちょ、やめっ……」

「ごめんごめん」


あの人なら、お礼、言わないと……

立ち上がり、王子の方を見ようとすると、もう一人の男子が目に入る。何故かイラついたような顔で王子を見ている。

王子の方を向き直し、深々と頭を下げる。


「助けて下さってありがとうございました!その……あの時は、辛くて、お礼すら言えなくて……すみませんでした。」

「そんな、頭上げて?当然の事をしたまでだから。それよりも、君が無事で良かった!」


その当然の事をいつでも出来るのは凄いと思う。


「ねぇ、2人の名前が知りたいな。あと俺は竜川敬で、王子じゃないよ」

「はい!!私は綾波七海です!で、こっちが野上真由です!!」


いや勝手に自己紹介すな。


「野上です」

「この、俺の後ろにいるのは……」

「結島若那」


この人は、口数が少ないのかな?
王子には劣るけど、彼も中々なイケメンな気がする。でも私の感覚ってズレてるらしいからな……


「よろしくね!じゃあまた明日、一緒にご飯食べよ!」


えぇ!?なんで!?
王子うるさそうだから、お礼も終わったし、もう関わらなくても…


「えぇ!?いいんですか!?ぜひ!!」

「ふふっ……七海ちゃん、真由ちゃん、じゃあね」


そうして、彼らは帰って行った。

彼らが見えなくなると同時に、囲まれる。

うわどうしよ。





いろんな人から質問攻め、授業、質問攻め、授業……と繰り返して、今日最後の授業が終わる頃にはやっと落ち着いた。

さすがに疲れた……
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