👑Emperor bride
向日葵の大輪の花が咲き誇る8月
が頭を持ち上げる頃‥

「ヨンスンさん、
最近チャンクさん、
 いらっしゃらないみたいです
ね。」

ヨンスンは苦笑いを浮かべながら

「婚礼の準備が始まったそう
だから忙しくあられるのだろうね。」
と言う。

ヨンスンは殿下がラナ目当てに
通われているのが丸分かりだから、ラナに、チャンクの身分を証ていた。 


勿論、ラナがとうに彼の身分を
知っている事をヨンスンは知らない。

ヨンスンが、みる限りラナもチ
ャンクを好いているようにも
見える。

身分違いの恋愛は何もかも壊し
てしまう。
その事を恐れてからの行いだった。

暫く来ないチャンクを待つラナを
カワンも気にしていた。

「殿下のお考えに、従うしか
あるまい。」

娘のように可愛らしいラナを見つめながら考えにふけるカワンだった。


チャンクはというと、街の動きに
目を光らせていた。
どこから刺客が、現れてもおかし
くはない。

チャンクが、来ているのは街中が
知る所だ。
チャンクの後を、黒装束の西洋剣
を抱えた集団が目を光らせ様子を
伺っている。

このサンイリアーナ地方の北の方
では余り歓迎されては居
ないようだ。


パッ
と隠れると集団は
小声だが、探せ探せと叫んでいた。


一番後ろの男の首を掴み、
藪の中に引きずり込む。

「あ、あわわわ、」
と言葉にならない声を出していた。


ピーッと笛をふくとチャンクの密偵が現れて奴を捕獲し屋敷に連れ
帰った。

チャンクも急いで屋敷に帰り
ドカッと玉座に座った。

暫くして捕まえた男が護衛等に
連れられチャンクの前に引きずり
出された。


「私をつけ回して何をしていたのだ!! 」

1段高い玉座に座りチャンクは声を
荒げた。
男はボサボサの頭でも目はギロリと
勇ましく、ふてぶてしい態度で
言った。


「なにも‥。」

フウン
「何もしておらなかったと、
申すか?」

ふてぶてしくニンマリと笑いながら奴は答えた。
「その通りでごぜーます。
 私は百姓で、税金を納めるのも
ままならず
 仕方なく外の仕事をせねばなら
んのです。

 
この地方は北と南では,あまりにも生活水準が違うんですぜ!。
普通の仕事をしていたら飯は食え
ませんぜ‼
あんたら、お偉いさんには
 わからねーでしょうな!!」


チャンクは男のロから出た以外な
言葉に軽いショックを受けていた。

民の生活には気を配っていたはず‥
しかもこの、サンイリアーナ地方
には支援をして来たはず‥

しかしこの荒れようはどうだ‥。

男のロは堅く何も喋らない。
しかし農家と言うなら土地が
あるはず隈無く、聞き込みと写真
を村中の者に聞いて回った。

身分はすぐ割れた。
彼はブラダマ国の男だった。
三年前クララという28の娘とね
んごろになりこの土地に住み着き
そのまま居座り結婚した。

クララは帰らぬ夫を心配していた。
 
男は隣国ブラマダ国の密偵だと
判明した。

再びチャンクの前に引き出された男はブラマダの密偵であることを認めた。

しかしクララは何も知らないと
主張した。
自分が捕まったことは、もう国に
知られている、クララを助けて
欲しいと願い出た。

最初は利用目的でちかずいた。
1年2年と過ぎる内、クララに惚れ
込んでしまった。


密偵としては、犯してはなら
ない罪!国からの沙汰を待つ、
しかしクララとクララの両親を、
今の自分には 守れない現実がある。


捕まった密偵の成れの果ては、
1晩たって何も助けの来ない時は、
毒を飲むか
殺されるかだ、自分を知る者は
全員消される。

何より、クララとその両親の
身の安全を願い出た。


クララと義両親は、マノリラ国の
民なのだから。
どうぞ両親と嫁を守ってくれと
懇願した。























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