👑Emperor bride


思い残すこともない。
チャンクの結婚式や、
パレードを見れないのが
残念であり、また見る自信もない。


彼はルナ姫を愛しく思うはずだ...
用済みは、帰りますよ。
帰りますとも...


ルナ姫は、琴乃から見ても愛らしい。
チャンクも幸せになるはずだ。

負けを認めてチコと一緒に此処を
でる。
チャンクが幸せならばそれでいい。

琴乃は別の世界の住人なのだか...ら。
元々この世界では、存在しない。


幼少の頃図書室で本を読んだ。

春は草原で居眠りをしチャンクの
馬に乗りあちこち走った。
背中に伝わるチャンクの温もりに
安心したな〜


2人で過ごすのが当たり前過ぎて
お嫁さんになるなる言ってたな。
フフフフ

夏は海に潜り魚を付いてBBQを
楽しんだ取り立ての魚は
うまかったね〜。

秋は、沢山の果実を取りまくった
なぁ〜食い放題だったし。

冬は2人お茶を飲んだり
パティシエの作ったおやつを
目当てに通ったなぁ。


チャンクの部屋で居眠りをしたり。
いつも優しく暖かかったチャンク
泣き虫な琴乃を励ましてくれた。

クスッ、何時もベッタリ甘えて
来たなァ〜
あの頃は、チャンクも私が
一番好きって言ってたっけ...

あの頃に帰ると私が一番だ‼

今度はチャンクが幸せになる様に
応援するよ。


「チャ━━━━ンク
さよならあぁぁぁ
いい王様になってねぇ━━━。


グスッ
さよならぁぁぁぁーーー。」

窓にうつるチャンクを見つけて
琴乃は叫んだ。


窓越しに何かが聞こえた?
チャンクが振り向くと琴乃が手
を大きく振って何か叫んでいる。

窓を開け「琴乃ーー‼」と叫ぶ
打ち合わせの確認をしていた
官僚達がバタバタバタと、
止めに入った。

「殿下、姫がお着きの刻限です。
お控えくださりませ。」

「チャンク━━。
さよならぁぁぁぁ━。
おめでと━━━━━━う。
おめーでーとぅーーー

バイバーい

チャンクは、ビックリ仰天して
止める官僚を、振り払い直ぐ叫んだ。


「琴乃を捕まえろ━━━━━━━っ‼

早く早くしろ━━━━━━━っ‼」


叫びながら自分も、物置小屋に
向かって走り出した。

《《《《《兵をだせ
━━━━‼》》》》》
急げ━━‼
逃がすな━━━━掴まえろ‼ 》》》》

チャンクは、物凄いスピードで
琴乃を追いかけた。

《《《まてー 、まてー、琴乃、
そんなに嫌なら婚姻は白紙に
するからーー

待つんだ━━ああ、
行くな━━‼》》》

何処に行くんだ━、
何処だよ━━━‼
まって、まってぐれーまさか━ ‼

やめろ、やめろォ━━━━‼
ことのー‼

お前だけは、
ーはなしたぐなーい。」
涙ながらに訴えるも琴乃には響かず


ーまて━━━━━っ‼》》》


琴乃は、大きく手を振りながら
ニッコリ笑うと

《《《ルナ姫とぉー、
末永ーく、御幸せにねぇ━━━。》》》

そう一言叫ぶと真っ白な服を着た
チャンクが、走って来るのを...
目に焼き付けるように見つめ、
その後鏡の中に静かにチコと

きえた。

現生に帰るとヨンスンさんから
貰ったトンカチで

子供の頃チャンクが言ったように
又ガラスを割って繋がりを
消した。


トンカチは、ポロポロポロポロと崩れ消えて無くなった。

しばらく泣いていた。
ゆっくりと腰を上げ、これで
良かったのだと
自分に言い聞かせた。
二、三枚割れた硝子を拾い
車に乗るとこれまでの出来事が
夢のように思える。

あの日のまま、時間が止まっていたのだろうか?
夏真っ盛りチコは疲れたように
助手席で眠っている。

ひと袋無くなったお菓子のレジ袋がパッカーンと開いていた。

きっとチャンクのベッドの下の
お菓子も消えているのだろう。

鏡がある内は存在するも、割れて
しまえば消えさる。

子供の頃もチャンクが持ち込んだ
本が全部消えてしまっていた。

チャンクへの恋心も消えてしまえ
ばいいのに・・・

沢山の人に出会い夢を見れた。
真夏の暑さがみせる幻影だったと
思わせるような不思議な時間だった

ー度はチャンクと添い遂げようと
思った世界。
実在するのは確かだった。

チャンクの成長を確かめ、思い残す事はもう、何も無い、

元々別世界なのだから

琴乃は実家に向かい車を走らせた。
あの日の時間の続きが動きだした。
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