星空の下、君に恋をして。
「葉月さんの試験結果を合わせたおかげで、A組は430点を超えたのよ。ギリギリだけど、イタリアで自由行動の許可が出るわね。それでは授業を始めます。」

さらっと口に出されたせいでよく分からなかったけど、周りの子の視線で私がイタリア行きに貢献したことが分かった。

「すご…」

「葉月さんヤバすぎ…」

周りの子達からの羨望の眼差し。

なんだか少し不思議な気分。

でも、私はほんのり笑顔を作って先生を見た。

「これからテキストを配ります。落丁がないか確認してから名前を書いてください。」

イタリア語の冊子を見て、私は目を見張った。

周りの子も同じような顔をしている。

「本格的…」

日常会話以上のレベルを求められていることに気付き、クラスメイトの顔が引きつっていく。

これが、星花学園の内側か。

私は早々に諦めをつけて、テキストを流し読みした。

「では、まずは初対面の挨拶からいきましょう。『ピアチェーレ』は、初めましてという意味です。皆さんで、せーの」

『ピアチェーレ』

これからの授業を想像して畏怖を抱く私達を見て、先生はにっこりと笑った。

「ある程度勉強をしたら、会話のテストを行います。頑張ってくださいね。」
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