星空の下、君に恋をして。
「失礼します。桜夜ちゃん、来てたんだね。」

入ってきた寧々ちゃんがにこりと笑って、私も頷いてみせた。

「桜夜ちゃんは、サックスどれが吹けるの?」

「えっと、一応ソプラノ、アルト、テナー、バリトン全部吹けるよ。いちばん得意なのはアルトかな。」

サックスには4つの種類がある。

ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス。

ソプラノが1番高い音域で、バリトンが1番低いの。

私が吹き慣れているのは、吹奏楽部の花形・アルトサックス。

「じゃあ、アルトサックスでデュエットとかどう?紅星くん。」

「いいと思いますよ?先輩達はどうなるんですか?立岡先輩はドラムとして、桜葉先輩は?キーボードですか?」

「うん、そうなるかな。ギターとベースは…うーん、彩花たちになるかな…?今年の明愛祭には、3年生は3年生だけで出るらしいから、うちらはうちらで決めないとね。桜夜ちゃんは、どうしたい?」

「…えっと」

まだ私、入部してないよ?

心の中でそう呟くと、寧々ちゃんはあ、という顔をした。

「もしかして、まだ入部確定してないんだっけ?」

「…うん」

こくん、と頷くと、寧々ちゃんが目に見えて動揺した。
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