星空の下、君に恋をして。
「うわぁああ!ごめんね!先走っちゃって。違う部活も行ってみていいと思うよ。私としては軽音部に入って欲しいけど、考えて決めるのも大事だし。どうする?」

楓菜くらいの勢いで、寧々ちゃんが口走った。

私としては、もう軽音部に決定してもいい。

でも、ほかの部も見てみたい気はする。

…うーん。

「正直、ここに決めてもいいと思ってるけど、一応ほかの部活も見てこようかな。見学だけでもしておきたいし。」

「そ、そうだよね。じゃあ、いってらっしゃい。」

私が寧々ちゃんに見送られて部屋を出る寸前。

実里くんが駆け寄ってきて、耳元で囁いた。

「また僕に会いに戻ってきてね?桜夜センパイ。」

「っ!?」

不意打ちの言葉にぎょっとして振り返ると、寧々ちゃんがやれやれと手を振っているのが目に入った。

「紅星くん。桜夜が困ってるから止めてあげて?」

「えー、桜葉先輩には関係ないじゃないですか?僕は、桜夜センパイに戻ってきてもらいたいんです。軽音部に入って欲しい。」

さっきの言葉からは想像出来ないほど真剣な声だった。

「僕の直感ですけど、桜夜センパイは…」

そう言って、実里くんは口を噤んだ。
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