星空の下、君に恋をして。
「あれ?桜夜ちゃん?軽音部行くんじゃなかったっけ?」

「あっ、一応ほかの部活も見てきたらって言われて…」

音楽室から顔を出したのは、クラスメイトの大沢由香ちゃんだった。

「それ、寧々が言ったんでしょう?好きなだけ見ていって。こっちとしても、桜夜ちゃんに入って貰えたら嬉しいし。」

はにかんだ笑顔で由香ちゃんはそう言った。

「じゃ、失礼します…」

中に1歩踏み込むと、練習をしていた音がすぅっと消えていった。

思わず1歩下がってしまう。

「はいはーい、見学です。みんな練習続けてねー」

由香ちゃんがパンパン、と手を叩いたことでぽつりぽつりと練習が再開する。

でも、チラチラと向けられる好奇の視線はなくならなかった。

「あ、あの、由香ちゃん…」

ドアの近くに立っていた由香ちゃんにそっと声を掛ける。

しかし、由香ちゃんは気付かず、そのまま扉へ向かってしまった。

(誰か来たのかな?)

すると。

「あっ、先輩!こんにちは!」

入ってきたのは、背の高い男の人だった。

「おう、練習してるか?」

笑顔を返しながら先輩と呼ばれた人は中に入ってきた。

「してますよー」

由香ちゃんの返答に満足そうに頷いた後、その先輩は私に目を止めた。
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