星空の下、君に恋をして。
「…っ」

波打つように高鳴った胸をぎゅっと右手で抑えて、息を止める。

そうでないと、耐えられない気がしたから。

言葉に惑わされるなんて、私、疲れてるのかな…?

ぎゅっと口を引き結んだ後、私はやっと息を吐き出した。

「凄くなんて、ないです。」

椿山先輩は困ったような顔で言った。

「俺はすごいと思ったよ。それだけ。葉月が嫌だったなら謝る。ごめんな。」

「…っ、謝らないで、ください。別に嫌だったわけじゃないんです。」

椿山先輩がほっとしたように息を吐いた。

「じゃあさ、そろそろちゃんと見学してってもらおうかな。俺たちA組吹奏楽部の演奏を、聴かせる。」

「そうですね!桜夜ちゃん、楽しんでね!」

由香ちゃんが嬉しそうに笑ってそう言った。

「A組吹奏楽部…」

ぽつん、と呟いてから私は顔を上げた。

「是非、聴かせてください。」

椿山先輩と由香ちゃんが大きく頷いた。

「じゃあ、コンクールの課題曲行くぞー」

『はい!』

みんなが一気に声を上げ、楽器を構える。

すっと静まり返る空間の変化にほう、と息を吐いて、私は楽器を構える彼らを見つめた。

「1、2、3」



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