星空の下、君に恋をして。
〈ジャーン!!!!〉

言葉では言い表せない程の振動が体を襲った。

「っ!?」

亜蓮先輩も、由香ちゃんも、楽しそうに曲を奏でている。

人数は少ないけど、迫力があって、とてもカッコイイ。

久しぶりに聞いた吹奏楽の演奏に魅了されながら、私はゆっくりと目を閉じた。

流れるような音楽に乗っているうちに、体がリズムにのって揺れ始める。

トランペットのファンファーレ、ホルンの裏打ち、サックスの主旋律。

マーチ特有のリズムが心地良い。

この中で、演奏したいかも…?

少し、ほんの少しだけそう思ってから、私は目を開いた。

ホルンのグリッサンドの後で勢いを残したまま終わった曲。

私はぱちぱちと手を叩いた。

「凄かった~!」

「ありがと、桜夜ちゃん。」

楽器を下ろした由香ちゃんがニコッと笑った。

「ね、良ければ吹奏楽部も考えてみて!」

「うん、そうだね。もう少し考えてから決めることにするよ。」

軽音部に決定しようと思っていた心が、少し揺れた。

「葉月は、中学の時何かやってたのか?」

椿山先輩が首を傾げてそう聞いてくる。

「吹奏楽部で、サックスをやってました。」


< 29 / 41 >

この作品をシェア

pagetop