三月の向日葵



何が危ないか。
飛び降りでもしたら危ないから?


三階から落ちれば間違いなく死ねる。
そんなことを選ばないように、
窓は厳重に閉ざされている。


こんなの、窓をつける必要あったのかな。
なんて思ってしまう。


なければ本当に監獄のようになってしまうから、
やっぱり窓はあったほうがいいな。






芳子ちゃんが病室を出て行った。


また暇になる。
テレビをつけてみても、面白いものは何もやっていない。


ただ悲しいニュースが流れてくるだけ。


何もしなくても人は死んでいくのに、
どうして人は人を殺すんだろう。


例えばもし、今の私が誰かに殺してくれと頼んで殺されたら、
それは殺人になってしまうのか。


半年前は殺してくれと両親に叫んだこともあったっけ。


今思えばお母さんたちを娘の殺人者にしなくてよかったと思える。


やっぱり死を選ぶのなら自分の力でなんとかしないとね。


ぶつりとテレビを消して、ベッドに横になる。


天井の丸い穴を一つずつ数えていく。
そんな行為も半分で飽きてしまい、また体を起こす。


絵を描こうと、ノートを持って地面に足をつけた。


ペタペタと音を鳴らして廊下に出ると、
私は一階にある中庭に向かって歩き出した。


もう夕方。
ああ、今日も無駄に一日が過ぎていた。


私はあと何日生きられるんだろうか。


こうして無駄な一日を過ごしていると
少し勿体ない気もする。


どうせ死ぬなら、もっと思い切り遊ぶとか
何かに挑戦するほうがよっぽど充実した日を送れるのに、
安静にしないといけないからってここに閉じ込められている。


私に出来るのは絵を描くことだけ。



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