輪舞曲-黒と白のcaprice-
side Y

目覚めればそこはやけに薬品の匂いが強烈で清潔感が溢れた白一色な小さな個室。
陽当たりが良すぎて、うっすら汗をかいてしまっているようだ。

「あ、目が覚めた?ほんと、あんたの生命力は大したもんだわ」

頭上から聞こえる声、どうも起き上がるのが億劫で目線だけ声のする方に向ける。
煙草をくわえながら何やら作業をしている真っ白いワンピースにナースキャップの女がそこにいた。

「…病院?」

「それ以外に何に見えるって言うのよ。」

随分口と態度が悪い女だ、沸き出るムカつきを押さえながら女の話に耳を傾ける事にする。

「それにしても驚いたわ。大怪我な上に高熱で指一本動かせない程なのに、それに下手すればショックでも起こして死んだかもしんないのに、あんたよくひとりでここに来れたわねえ」

「は?」

「それにあんたの口調面白かったわ。自分の事なのに[彼女を救ってやってくれ]だなんて、第三者目線にも程があるってもんよ」

テンポよく切り返しながら点滴の機械を少し手入れして、ナース(らしい女)は部屋を後にした。

「あたしが一人で…?」
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