輪舞曲-黒と白のcaprice-
弾くのは…真意を確かめてからでも遅くはなかろう。苦笑いを浮かべるながら振り向き殺気の正体を吟味。
「ほぅ…」
まさかの感嘆の声をあげる。
禍々しい殺気からにして、如何に屈服した体格の持ち主なのかと思えば、その姿はまさに闇の中に映える一筋の光と言っても過言ではないだろう。
全身を黒で身繕い、けれども金糸の長い髪は輝き風に靡き軽くふわり巻かれている。
小柄な体格で華奢という印象を強く与えるの姿は一見、まだ幼き少女とも見受けられるもの。
「…こんばんは、お嬢さん。こんな真夜中にどうしたの?…なんてね、君は俺の命を狙いにきたんだよね。一体誰に雇われたの?」
「そんな事…あなたは知る必要などないわ。
これからあなたに待っているのは死なのだから」
暗くて表情は読めないが、少女の感情は正に無。お互い一歩も動かずにらみ合い。
ジャリ…
しまった。小石を蹴ってしまった。
にらみ合いが続く中、少しでも動けばそれは負(=死)に繋がる。
ぱぁん!
そんな一瞬の隙を突いて狙ったかのような向こう側からの射撃音。瞬時に目の前の、今にやってくる弾道を注目・見切り、紙一重にそれを避ける。
自身の長い黒髪はふわりと宙を舞い、地面へとひらひら落下し弾丸をかすった頬からは一筋の血液がぽたりと流れ落ちる。