輪舞曲-黒と白のcaprice-

『一体全体どうしたというのユリア?
このような穏やかな日を感謝せず何故に眉間に皺なんて寄せて、せっかくの美形な顔を歪める?何か気に入らない事でもあるのかな?』

「うるさい。まず一つ挙げるとするならば、そこでこんな場所にそぐわない不似合いな笑みを浮かべて余裕綽々言わんばかりにしてる黒髪の男が空中にふわふわ浮いて目の前にいる事よ!」

いくら悪態をつこうともそれでも変わらぬ態度と表情に、益々あたしは苛つきが増してくる。
何故か出会った当初より痛烈な拒絶感は消えかけていることは奴には黙っておく。

「そしてここのご飯が美味しくない!不愉快!」

あたしを見つめていたらしいその瞳は、ふるふると小さく肩を鳴らし穏やかに笑いながらアサギは冷静に諌める。

『まあまあ冷静に。血圧が上がって治るものも治らなくなるよ?でもまあ…、君の事だし完治しようがしまいが仕事が入れば飛び出すでしょう?それが無い時ぐらいこの穏やかな小春日和を存分に甘んじれば良いんじゃないかな。と俺は思うけどね。…確かに食事は残念ながらってところだけどね。』

「…」
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