輪舞曲-黒と白のcaprice-
咄嗟に後ろへ下がりそれを阻止するも、発光弾の回避に集中する余りにがら空きになってしまった背後を取られてしまったようだ。
ぱぁん!!と背後から聞こえる激しい射撃音。
「…しまった!」
ギリギリ首の皮を掠り、そこからもうっすら血が吹き出し始める。どうやら血管に損傷を与えてしてしまったよう。
振り向くと金糸を靡かせた少女は拳銃を構え、迷わず胸に狙いを定めて目掛けての発砲。
パン!パン!
それも威嚇のようで、左右に頭蓋をかするように撃ち込む。威嚇掃射、三発目でのリボルバーが下がる瞬間を狙ってがら空きの少女の手首に一髪蹴りを入れ込む。
「な…っ!?」
護身銃は音を立てながら遠くの方へ遠ざかる。
苦虫を潰した表情をとっさに浮かべた少女は、懐に手を入れて銃を取り出そうと仕草。
この僅かな時間を逃してはならぬ。一瞬、俺を視界から遮断させたタイミングを狙い、少女の下腹部に蹴りを打ち込む。
「がは…っ!!」
口から赤い液体を吐き出しながら、少女は元いた場所へ転がり落ちる。これで俺の勝ちだ。
「悪く思わないでね。」
銃を構え、倒れたままの彼の頭上に照準を合わせる。その刹那、倒れこんだはずの少女の姿が見えなくなる。代わりに所々に朱色の水滴が縦横無尽に散らばっている。