お兄ちゃん。どうか私を愛して下さい
「お兄ちゃん」

そう声が響いたのは家の台所。

「おはよう、ひゆき」

いつも私より早起きなのは今日も変わらず、フライパンを片手に振り返った"お兄ちゃん"はこちらを向いてにこっと微笑む。
人懐っこい笑顔。
天然がかったパーマに少し染めた明るい髪。

それに比べて私はお兄ちゃんと似ても似つかぬ黒髪に、癖のないストレートが肩下まで伸びていた。

私は若干つり目だけど、"お兄ちゃん"はタレ目。


"お兄ちゃん"は.......

"私"は.......


比べちゃいけない。分かってる。比べたって意味が無い。


だって


私達は本当の「兄妹」じゃないから。


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