先輩が大好きでした。
「…何でいるんですか。壮真センパイ…。」

「帰り道こっちなんだよ。」

どうしてこうなったのか。
遡ることおよそ5分。
私はあの後教室にカバンを取りに戻り、帰ろうとした。
…が、そこで帰り際の壮真先輩と、その友達に会ってしまったのだ。
「あれ?後輩の地味メガネちゃん?」
「ホストみたいな壮真…先輩じゃないですか。というか私の名前、地味メガネじゃないです。」
さっきかっこいいと思ったが、素直に言うのは何故か悔しいし、“地味メガネ”と言われたので仕返しとして“ホストみたいな”と付け足したのだ。

「え?彼方、この子知り合い?」
「…あぁ、さっきゴミ捨て場でな。」
「彼方に向かってこんな口調で話す女の子、初めて見た‥」
そう言ったのは、ふわふわした白い髪の…可愛い子犬みたいな男の子だった。
ぷぷぷと、クリクリした目を細めて笑っている。

…可愛い。
「僕は、旭日昴だよ。彼方と同じ三年生で…あ、B組だよ!」
「…。」

「…昴、急に自己紹介しても彼女が困っちゃうだろ?」
と、旭日先輩に声をかけたのは、濃い青色の髪で、フチなしメガネをした真面目そうで、かっこいい先輩らしき人。


「あぁ、すまない。俺は3年C組の成瀬光輝。えっと…」
ここで私はようやく2人の先輩に挨拶をしていないことに気が付く。
「…2年E組の、夜桜楓花です。」
「楓花ちゃんか…!可愛い名前だね!」
そう言って微笑む朝日先輩。
「宜しくね。夜桜さん。」
初めは真面目で怖いイメージがあった成瀬先輩も優しく笑いかけてくれている。


「はい。よろしくお願いします。旭日先輩、成瀬先輩。」




< 7 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop