ゼフィルス、結婚は嫌よ
あーっと…す、すいません!
ウエイトレスが持って来た塩入れをサンドイッチの上にかざして聞くのに「え、ええ…」とうなずいてから「とにかく先生はそのような方で、あの、さきほどあなたがおっしゃられていた特攻…でしたか?その戦争に関しても〝もう二度と再び先の大戦のような、あのような惨禍をあなたがたに味合わせたくない。これにノーを云うのが女の…あ、あなた、そんなにお塩を入れないで」そう指摘されてまだ塩をふっていたことに気づく義男だった。「特攻…」という言葉を惑香が口に上せて来義男はとても真剣な目つきとなり、惑香の話に集中していたのでふりかけている塩を失念していたのだった。「あっと…す、すいません!お話に聞きほれてつい…あの、サンドイッチを交換しましょう。こちらを召し上がってください。さ、さ、どうぞ。美味しいですよ」と云ってバスケットを交換し自らも口にするのだった。「おー、しょっぱい」と思わず云うのに惑香が吹きだしてしまう。「いやいやいや、ハハハ。甘美なことこの上ないあなたのお顔を拝見しているのでちょうどいいです」「まあ」とか云う2人の間が急速にいい感じとなって行く。
「うーん、おいしい。さすが高級ベーカリー喫茶ですね」と惑香が云うのに「ええ、本当に…(サンドイッチをパクつきながら)それで、ここは?前々から贔屓(ひいき)にしていらっしゃるんですか?」「え?ええ…」義男の質問になにがしかを回想するような惑香の風情となっていく。ただ黙々とサンドイッチを口にしながら答えようとしない惑香の様子を慮って義男も口をつぐんだ。
「うーん、おいしい。さすが高級ベーカリー喫茶ですね」と惑香が云うのに「ええ、本当に…(サンドイッチをパクつきながら)それで、ここは?前々から贔屓(ひいき)にしていらっしゃるんですか?」「え?ええ…」義男の質問になにがしかを回想するような惑香の風情となっていく。ただ黙々とサンドイッチを口にしながら答えようとしない惑香の様子を慮って義男も口をつぐんだ。