桜の木の下で
「すいません。ありがとうございました」

私は、その場から駆け出していた。

はっ、はっ、はぁ。

かなり走った。
暑いのに走ったから汗が額に滲んだ。

迷惑なのはわかってた。
でも、あそこまで嫌な顔しなくても……。
そんなに嫌われるようなことした?


あっ。隣にいた人が彼女だからかぁ。
なるほど。
それなら理解できる。
うん。うん。

って、私。
失恋しちゃったんじゃん。
ばっ、馬鹿じゃん。
理解するの遅すぎ。

あ~涙出てきちゃった。
もう、これじゃ、汗だか、涙だか、わかんないや。

私はスーパーに寄る気にならず、家に帰った。
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