桜の木の下で
「はぁ~」
「ため息ばかりね」
「……まぁ」
「元気出して。あっ、そうだ。明日の花火大会行く人決まった?」
「佐藤先輩。私にケンカ売ってます?」
「えっ、なんで?」

もう、なんて可愛い顔して言うのかな~。
はぁ~。
また、ため息を漏らしてしまった。

「佐藤先輩。私に彼氏いないの知ってますよね?」
「うん。知ってる」
「じゃぁ、なんで聞くんですか?」
「友達と行ったり、あるじゃない?」
「そうですけど~」

不貞腐れた。

「あれ?怒っちゃった?」
「もう、いいですよ。怒ってません」
「ごめん。……じゃぁ、お詫びに一緒に花火大会行かない?」
「行かないですよ。彼氏さんと仲良く行くのに邪魔したくないですから」
「紀輝が葉月ちゃんも誘おうって言ってくれたの」
「え~っ、なんでですか?」
「稜も誘って4人で行こうって」
「かっ、菅田さんも?」
「うん。アイツ全然、彼女作らないからこうやって誘わないと出掛けないからって」

うそっ。彼女作らないって……。
昨日、女の人といたじゃん。

「葉月ちゃん?」
「……」
「どうかした?」
「きっと、私がいたら菅田さん嫌がりますよ」
「なんで?」
「私、嫌われてるみたいだから……」
「そんなことないよ。もう、稜のOKは、とってあるから。だから大丈夫だよ」
「私もって言ったんですか?」
「うん。言ったよ」

嬉しそうな顔の佐藤先輩。

なんでOKしたんだろう?

なにを考えてるのかわからなかった。
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