桜の木の下で
たこ焼き、イカ焼き、焼きそば。
後は、かき氷だな。

かき氷はさすがに4つは持てない。
1回荷物置いてこよう。
まずは、2つ買って……。

「まだ、並んでたの?」
「……えっ?」

振り返ると、菅田さんが不機嫌な顔をしていた。

「すいません。色々食べたくなっちゃって……」
「色気ねぇな」

ズキッ。

「ははっ、色気より食い気ですから」

苦笑いをするしかなかった。

「あと、何買うんだよ」
「かき氷買ったら戻ります」
「あぁ、わかった」

早く行ってくれないかな?
じゃないと、私泣きそうだ。
顔を見られたくなくて下を向いた。

???あれっ?

菅田さんは、全然動こうとしない。
恐る恐る顔を上げた。
隣で一緒に並んでいる。

「菅田さん?」
「なに?」

もう、何でそんなに言い方がキツイのかな?

「戻っていいですよ。私1人で大丈夫ですから」

私も口調がキツくなっていた。

「かき氷は4つ1人で持てないだろ?」
「2つ買ってまた並んで2つ買いますから」
「そんな時間かけたら他の食べ物がさめて不味くなる」
「……。そうですね。ありがとうございます」
「それに、あんた1人置いて帰ったら、
あの2人に責められるからな」

あぁ~。そういうことか。

そうだよね。じゃなかったら、
私のところに来るはずかない。
ここまで嫌われてると逆に笑えてくる。

「はは~。そういうこと」
「……。なに?」
「別に、何でもありません」

それから並んでいる間、ひと言も話さなかった。

< 31 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop