桜の木の下で
「おい、ちょっと待て」
「な、なんでついてくるんですか?」
「送ってく……」
「い、いいです。1人で帰れますから」
「それに……。話もあるし」
「わっ、私はないです」

振り返り、また歩き出した。
なのに、腕を掴まれて身動きがとれなかった。

「離して……」
「嫌だ……。離したらすぐ離れて行くだろっ」
「当たり前です。話すことなんてないですから」

私は必死だった。
今は、平常心でいることさえできなかった。
< 34 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop