前世は俺と愛し合ってました



〜 早織 視点 〜





「晴美くーん!千鶴ちゃーん!おはよう!」


「おはよう。早織」


「おはようございます。早織さん」






学校に向かう途中、前を歩いていた晴美くんと千鶴ちゃんに駆け寄り声をかけた






「…………あれ?晴美くん…その手、どうしたの…?」





晴美くんの右手には包帯が巻かれていた
私は、それが気になり触れようとしたら……






「……っ!触るな!!!!」


「……っ!?」


「……っ!?は、晴美さ……晴美お兄ちゃん!?」





晴美くんが焦ったような声を上げ伸ばした私の手を払った





え……?
は、晴美くん…?






「……あ……、ご、ごめん!早織!
ちょっと昨日、右手を痛めてしまって…まだ痛いんだ……」


「……え?あ、そ、そうだったんだ……!
私の方こそ、ごめんね…」



「いや!俺の方こそ急に怒鳴ってごめん…」






晴美くんは、右手を隠すように背中にやり
私に謝ってきた






は、晴美くんが…私に怒鳴るように声をあげるなんて……






「……あ!ああ、そうでした!
早織さん!私、シフォンケーキを作って持ってきたのでお昼一緒に食べませんか?」



「……え!?ほ、本当!?
うん!食べる!一緒に食べよう!」






千鶴ちゃんは、思い出したようにカバンからラッピングしてある小さな袋を見せ私にそう言ってきた






千鶴ちゃん、すごいなぁ……
女子力高い!

私も見習わないと!






「…………そういえば、早織さん。昨日…
変わったナンパをされたのですよね…?」



「……ナンパ?あ、ああ…!あの変人男のことね!」



「………あ、あの…そのナンパしてきた男の人って…
早織さんの知り合いだったんですか…?」



「……え!?違うよ!違う違う!
昨日、晴美くんにも話したけど…
本当に知らない人!
前世?とか訳分からないこと言って……
本当に知らない人だし見た目はカッコよかったけど
気持ち悪い男だったんだよ!」




「……そ、そうなんですね……」






千鶴ちゃんは、私の話を聞くと何故か安心したような顔をして笑った





晴美くん
千鶴ちゃんに昨日のこと話したんだ……

仲が良いのは分かるけど…

そんなことまで話さなくても……
あ、もしかして……!





「ね、ねぇ!千鶴ちゃん!」


「あ、はい!」





私は、千鶴ちゃんの手をとり
少し晴美くんから距離をとった



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