双星の煌めきは月夜に魅せられて
ドアの開く音がして、優生が私の隣に座り込んだ。
前の車窓からは沢山のバイクが並んであって、桜蘭のメンバー総勢揃っている。
「そろそろだ。お前、絶対に目に焼き付けろよ」
「うん?なんかあるの?」
私がそう聞くが優生のスマホの着信音が鳴り、答えることはせずに電話に出てしまった。
「……ああ、いつでも大丈夫だ」
それだけ言った優生はどこか企んで、だけどそれがとても様になっていて。
いたずらを企む少年みたいな、とても楽しそうな表情をしている。
「……!」
優生の横顔をジッと見つめていたら、前方から大きなクラクションが鳴り、思わず私は耳を塞いだ。
「うるさ……!」
「前見ろよ」
「え?」
塞いだ耳に飛び込む優生の言葉。
閉じてた目を開いて前を向けた。