双星の煌めきは月夜に魅せられて
「……」
だからってそんなにリスキーなことをするのよ。
ゲームじゃないんだから失敗したら取り返しつかなくなるじゃない。
色々と言ってやりたいことはあるが、車の勢いに追いつくのに精一杯で、口にできる余裕がなくなってしまった。
「それにお前が何も考えずに感情を曝け出す機会がそんなにないんだから、定期的にやんねーとな」
そ、そんなとびっきりの笑顔で言われても……!
思わず照れてしまい、私は激しい揺れに耐えることにより力を注いだ。
私の性格が定まらないことは知ってた。
なずなの前だったら、明るくすれば上手くやれる。
パパの前だったら、しっかりすれば大丈夫。
そんなのを考えていくうちに無意識に性格を入れ替えて、明るい自分だったら何が適切なのかを把握できていた。
それも全てを客観視しているから。
今まで誰も気づかなかったのに、優生がそんな私に気づいてくれた。
彼が総長なのはきっとそういうところなんだろう。