双星の煌めきは月夜に魅せられて


"やっと辞められる"


"もう嘘をつかなくてもいいんだって安心したら思わずありがとうって言っちゃったんです"



父さんから聞いた話とインターネットに載ったセリフは目の前のコイツの心の叫びのように聞こえて。



コイツもずっと嘘を吐き続けて苦しかったのか?


やってることは犯罪だから余計誰にも話せなくて、どれほど苦しかったんだろう。



"薬物依存性は病気なんです。自然に治るなんてことはほとんどないんです"



だけど、俺は馬鹿だからそのことに気づかず、辞められないのは反省が足りないだとか言って非難してしまった。



「聞きたいことがある」


「いいよ。自分に答えられるなら」


「……どうしてなずなを陥れた?」



そういえば知らなかったこと。


もしかしたら何か理由があるのかもしれないと思うのは何故だろう。


クスリを辞めたい……つまりはクスリは悪いってことは知っていたということだ。


つまりは物事の善悪の区別はできるということなのだ。

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