双星の煌めきは月夜に魅せられて

これまで大変だっただろう。


特に暴力団の家庭で父親があんな奴だからな、抜け出したくても抜け出せなかったのだろう。



「あのさ、あたしが嘘つくとか考えないの?」


「ああ、なんだかんだで嘘はつく人じゃないと思う」



薬物依存症の人の特徴に嘘をつくというのを月那に教えてもらったことがある。


それもバレないように。


そして家族の人達はその人が逮捕されないように庇って、嘘をついて、家庭環境が悪化してしまうと。



俺は馬鹿だけど、これまで数多くの依存症の人達を見てきた。


例えエレナが嘘をついたとしても、俺は禁断症状や精神状態などで見破れる自信がある。



エレナはきっと嘘をつく、それはまだ完全に俺に心を開いてないからだ。



だから完全に心を開いたその瞬間で、俺はエレナに一歩踏み込んで、


──逮捕させる。



依存症から脱するのは無理だが、回復したとしても俺達が狙うのはあくまでもエレナの父親だ。



俺は、捜査協力者として全うするまでだ。

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