双星の煌めきは月夜に魅せられて
「じゃあさ、もしクスリ辞められたらさ、お願いがあるの」
「お願いって?」
「今は言えないけど、抜け出せたら必ず言うから」
袖をちょんと握って、俯いて言ったエレナに俺は快く頷いた。
それが例えどんなことにも変えられないくらいの大きな過ちだとしても。
俺はその行動に後悔はしなかった。
「なんか、話すとこんなにも楽になれるんだね!
誰にも相談できなかったから、なんか気持ちがすごく楽なの」
「そっか、それなら良かった」
「だから、ありがとう」
どこか吹っ切れた表情をして明るく笑ったエレナ。
これが本来の笑顔なんだと改めて思った俺は、エレナへの嫌悪感が薄れていくのを感じた。
その後は連絡先を交換して、俺はエレナを家まで送ることになった。
「家ってどこ?」
「マンションで一人暮らしなの。
パパは今地方で仕事してるからね」
エレナはそう言って、すぐそこにあったマンションの建物を指差した。