双星の煌めきは月夜に魅せられて


場所は思ったよりも近くて、倉庫からおよそ15分といったところか。


だが、人気が全くなくて、建物自体古そうだ。


女子高生ひとりで住むにはあまり適していない場所だと思うんだけど。



「優生とかに送ってもらってるのか?」


「優生には家までは教えてない。いつも近くのコンビニまでにしてもらってる」


「そっか」



さっき通ったコンビニのことだろうか。


いくら近いとはいえ、危ないだろ。


彼氏なんだから甘えなよ、なんて言おうとしたけど彼女の事情を考えたらそうもいかないよなとひとり合点した。



「じゃ、夜遅いから朔夜くんも早く帰ってね!」


「おう、じゃあな。なんかあったらすぐ連絡して」



逃げ足でマンションのエントランスに入ったエレナを見て、俺は踵を返した。


やけに急いで入ったみたいだけど、この後クスリに手を出してしまうのだろうか。



クスリに手を出さないとは信じてなかったが、


俺に連絡はするだろうという確信はあった。


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