双星の煌めきは月夜に魅せられて
⁑
☆
その数日後のことだった。
最後にあったのがあの時なので、ここ数日エレナに会っていない状態だった。
「朔夜、なんかスマホ鳴ってるみたいだけど」
ドアを開けてイヤホンをぶら下げて言った月那。
俺のスマホは確かリビングの机の上にあったはずだ。
月那の作業の邪魔させちまったかな。
「ごめん、取りに行く」
誰からの電話なんだろうと思いながらリビングに向かうと、まだ呼出音が鳴ったままで。
急いで取ってみると、ディスプレイにはエレナの名前があった。
「もしもし?」
『……朔夜くん?』
「何かあったのか?」
その声は弱り果てた声で、俺は戸惑いながら静かに問いかけた。
『あのね……家に来てほしいの』
「わかった。今行く」
耳に当てながら歩き始めて、必要最低限の荷物を持てば即座に家から出た。