双星の煌めきは月夜に魅せられて






その数日後のことだった。


最後にあったのがあの時なので、ここ数日エレナに会っていない状態だった。



「朔夜、なんかスマホ鳴ってるみたいだけど」



ドアを開けてイヤホンをぶら下げて言った月那。


俺のスマホは確かリビングの机の上にあったはずだ。


月那の作業の邪魔させちまったかな。



「ごめん、取りに行く」



誰からの電話なんだろうと思いながらリビングに向かうと、まだ呼出音が鳴ったままで。


急いで取ってみると、ディスプレイにはエレナの名前があった。



「もしもし?」


『……朔夜くん?』


「何かあったのか?」



その声は弱り果てた声で、俺は戸惑いながら静かに問いかけた。



『あのね……家に来てほしいの』


「わかった。今行く」



耳に当てながら歩き始めて、必要最低限の荷物を持てば即座に家から出た。

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