双星の煌めきは月夜に魅せられて

育ち盛りの高校生が数日間何も口にせずにいられたことに俺は吐き気がしそうだ。


依存症の人はクスリが全てにおいて最優先しているものなのだ。


それなのに害しか与えず、しまいには死者も出してしまうクスリは悪魔にしか思えない。



「頼れるのが朔夜くんしかいなかったから、思わず連絡しちゃった……」


「連絡してくれてありがとう」


「ごめんなさい……っ」



エレナの頭にそっと手を置けば、彼女の涙腺はまた緩んでしまった。


頭に置いてた手を背中に移して、背中を定期的にさすってしばらくして、彼女は泣き止んだ。



「……パパもあたしと同じなの」


「え?」


「パパは忙しくて、あたしに構ってくれることなんかほとんどなかった。だけど、パパがマリファナを飲んでるのを見て真似したの」



それはエレナの父親の話だった。


パパも薬物乱用して依存しているのかな。



「そしたら、パパはあたしにマリファナだけじゃなくてエクスタシーもくれて、あたしのことを見てくれたって勘違いしちゃった」



自嘲して言ったエレナに胸が痛くて。

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