双星の煌めきは月夜に魅せられて
エレナが小さな子どものように見えて。
「だけど、それは最初だけだった。
クスリが抜けていく度に、死にたい思いでいっぱいで、だけど依存してしまう自分が嫌で……ずっと辞めたかった」
「……うん」
「周りのクラスメイトを見て、もっと可愛くしたいのに、そのお金が全部クスリに行っちゃって……」
俺の想像では彼女の痛みは計り知れない。
だけど、苦しみから脱そうとしているエレナのために力になりたいと強く思った。
「だから、朔夜くんのおかげで辞めるきっかけができたの。全力で頑張る、今日を我慢するっていうのを何度も繰り返す!」
「……うん、頑張ろうな」
エレナはうんと頷いて嬉しそうに笑った。
「よし、今ちょうどクスリが切れちゃったから、また色々起きちゃうかもしれないけど、起きない前にお礼してもいい?」
「お礼はいらない」
「ううん、感謝してもしきれないんだから!
ねえ、好きな食べ物とかある?」
「……唐揚げ」
「よし、鶏肉買いに行こう!」
エレナはスッと立ち上がって、俺の手を引いた。