双星の煌めきは月夜に魅せられて


私は眠気をこらえて、なずなを見ながら怪我のことについて考えた。



この怪我が暴走族関連なのは間違いない。


なずなは確か……桜蘭という暴走族の姫だ。



桜蘭。


この辺りで発足している最強の暴走族、らしい。


らしい、というのはその最強の実態を詳しく知られてない秘密主義だからだ。


一度なずなに桜蘭は何人くらいいるのと聞いても、それは秘密と言ったのだ。


だから、桜蘭の溜まり場や倉庫はもちろん、総長や幹部の名は知らないという変わった暴走族なのだ。



桜蘭はどこかの乱闘に遭ったのか。


いや、そうしたら私に情報が行き届くはずだ。


自称情報屋は伊達じゃないから。



視線を朔夜に変えると、不安そうな瞳でなずなの方を見ていて、自分の気持ちを今一度確かめられた。


……なずなの傷早く治るといいな。


そう思ったのが最後、やはり私は眠気に耐えられることはできなかった。

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