双星の煌めきは月夜に魅せられて
無邪気な彼女に胸が早鐘を打った気がして、俺は戸惑いながらも彼女の手を離さなかった。
「……あ」
「バイトか。いいんじゃない?」
「今までも何回かやったんだけど、全部クスリを理由でクビにされちゃったんだよね」
外に出て、近くにあったスーパーに向かう俺達。
すれ違う建物に貼られてあったバイトの募集ポスターをエレナは食い込むように見ていた。
「大丈夫だよ」
「ふふっ、朔夜くんが言うならそうだね!」
……本当に吹っ切れたんだな。
エレナが前に進むんだ、俺もそろそろけじめをつけて捜査に全力を注がないと。
エレナには悪いが、泳がせて逮捕させるぞ。
スーパーについて俺たちは鶏肉と野菜を買って、来た道を戻る。
その間も会話が途絶えることはなくて、普段口数が少ない俺からすれば苦痛のことなのに、
どこか心地よかった。