双星の煌めきは月夜に魅せられて

「それより、優生は何も知らない」


「エレナがそう言ったの?」


「ああ」



薬物乱用を知っているのも俺だけ。


エレナの部屋も料理も俺だけが知っている。



「そっか、じゃあアイツらにとっては気の毒の話になっちゃうわね。心の底から信じていたんだから」


「……だな」



最近月那が明るく話す姿をあまり見かけない。


桜蘭に来て何か変わったのかな。


いや、でも光希に対しては明るかったし、俺の考えすぎなのかもしれない。


話が終わったのか月那は澄ませた顔してまたキーボードを打ったので、俺は部屋に戻った。



それからも俺はエレナがクスリを飲んでしまった時は駆けつけていく日々を送っていた。


そのお陰と言うのか分からないが、今のところ一週間続けてクスリを飲むことはなかった。


そして彼女もやつれた表情にはなってはいるが、飲食店のアルバイトを始めたのだった。

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