双星の煌めきは月夜に魅せられて
すると俺のスマホに着信音が鳴った。
相手は何となく想定できる。
『もしもし……?』
「調子はどう?落ち着いたか?」
俺は電話を続けるために一旦幹部室を後にして、いつも息抜きしている公園のベンチに座った。
『一週間我慢できたのに、またやっちゃった……迷惑かけてごめんね』
「ううん、また一から頑張ろ」
『ありがとう……!あのさ、たくさん作っちゃって唐揚げが余っちゃったの。食べに来ない?』
あの美味しい唐揚げをもう一度食べれるならもちろん行かない選択肢などない。
千尋にもう家に帰ると連絡して、駆け足でエレナの家に向かう。
そして着いた時にはドアの前から美味しそうな匂いが漂ってきた。
「入っていいよー!」
インターホンを押そうとしたら、ドアの向こうからエレナの声が聞こえ、俺はドアを開けて家に入った。
そしてリビングに入れば、以前のように机に唐揚げとサラダが置かれてあった。
「また失敗しちゃった。分量とかよく多目にしちゃうから朔夜くんがいて良かった」