双星の煌めきは月夜に魅せられて
「「……」」
エレナってこんな綺麗な瞳だったっけ……。
鼻と鼻との距離が1センチあるかないかくらい。
しかし目を離すことなんてなく、お互いの瞳に飲み込まれそうだ。
「ご、ごめんね朔夜くん!」
「いや、平気」
ようやくハッとした俺達は右に90度回って身体ごと視線を逸らした。
──ドキドキ
いや、落ち着け俺。
「朔夜くんって桜蘭といる時と雰囲気だいぶ変わるよね!」
「そうか……?」
ドキドキしすぎて、会話に集中できない。
エレナも目を泳がせながら必死に紡いでいる姿を見ると、どこか面白くて。
「なんか口数も減るし、緊張でもしてるの?」
「ううん、してない」
もう一回目線が絡まってなんて反応しようかと思えば向こうから笑ってくれた。
しかも、口数が減るのは緊張からではなく、ただの口下手なだけだ。