双星の煌めきは月夜に魅せられて
エレナの薬物乱用は中学からだそうだ。
父親である三村に少しでも見て欲しくて、お小遣いでネットから大量のマリファナを購入したらしい。
近年の危険ドラックは販売ルートが簡素化されて、手頃な価格で手を出しやすくなっている。
インターネットの普及で莫大な情報を誰もが入手でき、危険な誘い文句で溢れている。
もちろん全てはそうではないが、誤っている情報があるというのがインターネットの特色だ。
だが未成年保護から、ドラッグ情報の統制をしてほしい。
違法薬物の販売はもちろんダメだが、未規制の薬物や医薬品の乱用を勧めるようなホームページがある。
こうしたものが子どもの心の隙間に入り込んでしまうのだ。
「朔夜くんに電話する時は、禁断症状が落ち着いてからだからまだ正常でいられるけど、クスリが抜け始めたら本当に誰にも見せられない」
「電話する時はいつでもいいから」
今のエレナは完全ではないが、禁断症状が終わってクスリがだいぶ抜けている状態だ。
そういう時こそ、フラッシュバックに気をつけないと痛い目に遭うのだ。
でもエレナなら大丈夫だ。
依存症の人は大抵自分が依存症であることを認めようとしないが、エレナはそうではないから。
自分で前に進もうとしてるから。