双星の煌めきは月夜に魅せられて

「……ねえ、朔夜くん。お願いがあるの」



お願い……? どんなお願いなんだ?


「何?」と短く聞けばエレナは固い表情を浮かべ、またもや俯いてしまった。



「三カ月。三カ月クスリ我慢できたら……一緒に行きたいところがあるの」


「三カ月?」


「うん、三カ月クスリ我慢して、今よりも自分を好きになれたら……朔夜くんと一緒に行きたいの」



エレナは自分のことが嫌いと言った。



クスリがないと生きていけない自分が。


クスリにいつまでも振り回される自分が。


クスリで全てを失ってもなお求めてしまう自分が。



「……そんな自分でも、受け入れて好きになれたら、朔夜くんにごめんねとありがとうをたくさん言いたいの」



俺はそこで優生を思い出す。



俺……何やってるんだ。


残念ながら他人の心情を読み取るのが得意なのだ。


捜査で嫌でも鍛えられたのだから。


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