双星の煌めきは月夜に魅せられて

『ねえ、パパはなんでつきな達と家族になったの?』


『僕にも教えて』



パパはぎごちない包丁さばきを止めて、月那達の目線に合わせるように、しゃがみ込んだ。



『なんだ?パパじゃ嫌なのか?』


『ううん!パパ大好き!』


『俺も月那と朔夜が大好きだ!』



両手でふたりを抱き締める光景は血の繋がった本当の家族のようだ。


パパは二人のために慣れない家事をこなし、仕事を早く切り上げて家で夜遅くまで仕事していた。



月那はそんなパパを見て、もっとしっかりしようと思った。


全てはそこから始まった。


苦手な勉強をして、家事をパパの負担を減らすために始めて、朔夜とは違う方向で月那も輝いた。



『月那ちゃん、漢字のテスト満点なんだって!?』


『朔夜くんは運動ができて、月那ちゃんは頭が良くて、ふたりともすごいね!』



その甲斐あって、いつの日にかそう言われるようになった。


そして、あまりにも人とは思えない頭脳を手に入れた代わりに



『ねえ、月那ちゃんって将来何になりたいの?』


『え……』



月那は心をどこかに無くしてしまった。






FIVE STARS

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