双星の煌めきは月夜に魅せられて
「⋯⋯」
夜風が爽やかで心地がいい。
いつもは飛ばされないかと必死でそんなことを思う暇がなかった。
「今日は長く走りたい気分」
「ふうん」
不覚にも嬉しいと思ったのだが、声に出ないように短く返す。
この人といる時、感情が嫌でも出てしまう。
捜査を失敗しないためにも冷静でいなくちゃいけないのに。
どうしていろいろ考えるよりも口が出てしまうのだろうか。
「そうだ、エレナが最近いろいろ話してくれるようになったんだ」
「え⋯⋯」
声を弾ませながら前を見て運転する優生。
本来は喜ぶべきはずなのに、なんといえばいいのかわからない気持ちになって、そんな自分に戸惑った。
「俺からできる範囲で素直な気持ちとか伝えたら、今度久しぶりにデートすることになったんだ」
「へえ⋯⋯よかったじゃん」
少なくとも、よかったとは思っていないのは分かった。
だけど、理由が全然検討がつかない。