双星の煌めきは月夜に魅せられて

本当にすごいと思う。


自分の理想に向かって行動に移せて、私とは大違い。



『将来、何になりたいの?』



──私には夢というものがない。


それ以前に、やりたいことがない。


さらには"〇〇がいい!"という自分の好みもすら分からない。



『先のことなんてそんなに考えてなかった』


『へえ、てっきり医者とかそういうのかと思ってたから意外。まあ、なりたいものとかすぐ見つかるものじゃないしね』


『……そうだね』



いつの日にか今日のご飯も朔夜の好物に偏ったメニューが多くなった。


好きなお菓子は趣味の悪い味にすれば、相手に印象を残せるから納豆わさび味のポテチに"しておいた"。



「……い、おい、どうした?」


「あ……」


「珍しいな。人の話を聞いてないって、バイクの爆音で聞こえなかっただけだったらいいけど」


「ごめん、考え事してた」

< 171 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop