双星の煌めきは月夜に魅せられて
「朔夜も切らない?かっこいい顔してるのにもったいないよ!」
「……じゃあ、切ろうかな」
「え、まじで?」
今まで同じような誘いを何度もしたのに、頑なに頷かなかった朔夜がついに乗った。
どんな心境の変化が訪れたの、え、本当に言ってる?
また断られると思ったのに、まさかのオーケーサインが出るとは……。
「……驚いてる」
「いやだって、朔夜のアイデンティティが……」
「アイデンティティじゃない」
口調でどんな表情か読み取る感じだったのに、ついに何も考えなくても見えるようになるのか。
とはいえ、朔夜は整った顔立ちしてるから、切ったは切ったでまたモテ始めて大変だろうな。
朔夜はモテるのが嫌で前髪伸ばしたのだから。
「またモテちゃうけどいいの?」
「多分、平気」
朔夜がそう言うなら私は何も言わないでおこう。