双星の煌めきは月夜に魅せられて

出入口に向かって歩く途中、私はあるものに目を奪われた。



「⋯⋯月那?」


「これ奇麗だね」



そこはジュエリーショップのようで、中でも私はムーンストーンの小さなネックレスに惹かれた。


ムーンストーンは石の表面に、月光と思わせる神秘的な光が浮かぶことが由来となっている。


月の光と聞いて、私の名前である月那を思い出す。


ムーンストーンはたくさんの意味があるのだが、真っ先に思い浮かんだのは"豊かな愛情"だった。


愛情……え、待って……



「これ、月那の石って感じ」


「まあ、名前が名前だからね」



朔夜に答えてる横で、私は至った結論に困惑していた。


このネックレスをつけた私を一番最初に見てほしいと思った人が……優生で。


つまり、少しは可愛くなった私を見てほしいと思っているということになって。


優生に……女として見てほしいということで。



これがなんと呼ぶのか私でも分かる。


初めてだけど、本で何度も読んできたから概要は分かっているつもりだ。

< 181 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop