双星の煌めきは月夜に魅せられて
「今日、エレナ来るみたいだよ。クスリもしばらく我慢しているみたいだし。これから行く頻度も上がるだろうって」
「それなら良かった」
桜蘭に近づくほど、朔夜はコミュ力全開モードに入っていく。
引っ張っていた手もいつのまにか離れていて、お互い良い距離を保ちながら歩いていた。
そして朔夜の表情も凛々しくなっていった。
「やっぱ、朔夜は何しても様になるよ」
「それはどうも」
倉庫に着いた私達は、一旦チラッと中を覗く。
人がたくさんいるのを確認して、私達は目を合わせた。
学校の疲れもあるから、あまり大騒ぎになるのは避けたいが、この人数はどうしようか。
私は黒に戻しただけだが、朔夜は大きなイメチェンだから。
朔夜を見て、皆が驚くのは容易に想像できる。
「女子はエレナ以外いないし、覚悟するしかないね」
「うん、そうだな」
私達はいつものように、静かに中へと進んだ。