双星の煌めきは月夜に魅せられて
千尋は相変わらずパソコンをいじっている。
何か調べ物しているのだろうか。
「そっちもいいな」
「ありがとう、優生!」
優生に声をかけてもらえて嬉しいと思わず舞い上がってしまう。
だけど、それを隠すためにいつも通り感情を作った。
「それにしても、なんで切ったんだ?」
「うーん、茶色がなんか嫌で。まあ、気分かな」
優生の手とエレナの手が繋がれている。
気にしないように、見ないように心がけているのに、どうしても目に入ってしまう。
今まで普通にいられたでしょう⋯⋯?
感情が先走る前に私は一回冷静な頭に戻した。
さっきからエレナの視線が定まらず、何かを探しているように目線をきょろきょろしている。
ここにいないのは、朔夜だけだし朔夜を探しているのかな?
朔夜の居場所を伝えようとしたとき、後ろのドアからガチャリと音が鳴った。